【経済日報】台湾鉄リチウム電池 大型エネルギー貯蔵システムのキーファクター

地球規模での省エネ低炭素化のトレンドのもとに、再生エネルギーは不可欠な重要産業となった。再生エネルギーは不安定で、電力供給の安定と産業の発展に厳重な影響を与えるが、エネルギー貯蔵システムを用いて電力を平滑化するとともに、余剰電力を貯蔵して、必要な時に安定的に供給することは、有効かつ割に合う唯一の解決方法であることが実証されている。

大型エネルギー貯蔵システムに用いられるバッテリーシステムの種類は多いが、安全、高性能、使用期限、コストパフォーマンスを考慮すると同時に、業界の自主生産を考えると、台湾は信頼度が高く、完全な供給チェーンを有する鉄リチウム電池に産業発展の重点に置くべきであろう。
以前、大型エネルギー貯蔵システムの電池セルは、その多くがNi、Co、Al、Mgといった元素、つまり三元系リチウム電池を採用していたが、安定度が低く、過去に多くの火災事故を起こしており、韓国のエネルギー貯蔵産業は、電池の火災事故により進展が著しく阻害された。
国内の電池業者は、工業技術研究院材化所の指導のもとに、信頼度の高い円筒型の電池セル設計とするとともに、基礎材としてSTOBAの被膜技術を導入し、オリビン型のリン酸鉄リチウム電池正極材を用いており、試験を経て高度の安全性が確認されている。
ブルームバーグニュースによると、2050年には全世界におけるエネルギー貯蔵システム関連の総投資額が5,000億元を超えると予測されており、そのうち60%以上が送配電網のエネルギー貯蔵システムへの投資である。「周波数調整」による大型エネルギー貯蔵システムに必要な電池の性能に対する要求が強調されており、充放電能力が低倍率の従来型電池では機能的に無理である。したがって、送配電網向けのエネルギー貯蔵システムは以下の要求を満たす必要がある。

  • 高倍率充放電能力(2C以上)
  • サイクル寿命5,000回
  • 生産が全自動化され、安全で信頼度が高い電池設計
  • コストパフォーマンスの高さ

台塑グループのサポート下にある国内の鉄リチウム電池産業は、原料、セル、電池モジュールからエネルギー貯蔵システムそのものまで、特許技術、製造設備、製品の販売、いずれの面においても、国内供給チェーンが高度の国産化を成し遂げており、国外大手の制約を受けることがない。昇陽電池の場合だと、生産設備の80%、直接材料の90%は国内の業者でまかなっており、そのうち正極材、セパレータ、電解液といった重要な素材は台塑グループから来ている。

国産化というと、特許の問題となる。工業技術研究院材化所など、関係組織はすでに対策に動いており、産業発展を後押しする国家クラスの特許支援プラットフォームを組織する計画である。計画においては、基礎材料に関する同所の特許と技術、および昇陽電池のスマート型エネルギー貯蔵システムの特許(US8489249B2)といった国内業者が持つキー特許に加えて、基礎材料、セルやモジュールの設計から大型エネルギー貯蔵システムの特許と技術に至るまでの保護ネットワークを形成し、産業の健全な発展をサポートする。

リチウム電池産業は、エネルギー貯蔵産業の重要な一環であり、先進国も中国も重点産業として前向きに支援しており、最新の国防およびICT設備に用いる場合、国としての安全保障に係わることから、政府によって重視されている。

Source:https://money.udn.com/money/story/5722/5052842

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